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福井県おおい町の小学校です。 日々の様子をお伝えします。

2010年10月1日金曜日

「雨の日」と「晴れの日」

 先月の体育大会の開会式で「仲間と心を一つにして,仲間を思いやって,そしてすべての人に感謝して,演技や競技をする姿を見せてほしい」と子供たちに話しました。期待通り,子供たちはその姿を見せてくれました。それぞれの学年が一所懸命に取り組みました。特に6年生は小学校生活最後の思い出に残るような頑張りでした。猛暑の中,終日子どもたちを励ましてくださった保護者の皆さん,地域やご来賓の方々,本当にありがとうございました。改めてお礼申し上げます。

 鮮やかな朱色が田んぼの畦や川の土手に映えています。彼岸花とはよく言ったもので,秋の彼岸を忘れずちゃんと咲いてくれます。今年は残暑が厳しく,彼岸の終わり頃になってやっと間に合った開花でしたが,しっかり自分を主張して見事に咲いています。普段は土の下で目立たないのに,年に一度,この時のために精一杯咲いてる姿が美しいです。花に劣らず,子供が行事を通して精一杯輝いて伸びていく姿は,花が咲き誇る姿にも増して美しいものです。

 ところで,彼岸花は夏の猛暑から初秋の朝夕の冷気に変わる,暑さと寒さを感じて花を咲かせるのでしょうか。彼岸花に限らず,植物は温度の変化を感じて花を咲かせたり,生長したりしているように思います。また,植物の生長にとってなくてはならないのが,天から降り注ぐ雨であり,太陽の光です。雨と光がバランスよく降り注ぐと,幹や枝は大きく伸び,葉は緑濃く茂ります。もし,雨の日ばかり続けば根が腐って育ちません。逆に,晴れの日ばかりでも,水分がなくなって枯れてしまいます。

 子供の心の成長を考えたとき,雨と晴れ,暑さと寒さのような反対の性質をもつものが必要です。そうです。それは「きびしさ」と「やさしさ」です。例えば,子供の前に乗り越えなければならない壁が立ちふさがったとします。大人が先回りして手を掛けることは,子供に「雨の日」を与えていないのと同じことになります。厳しいですが,子供自身が自分で乗り越えるのを見守ることが育てることではないでしょうか。また,そのよさや育ちを大人が見つけ,認めることが「晴れの日」を与えることではないでしょうか。成長段階の子供は時として過ちを犯すことがあります。そのとき,きびしく指摘されることによって,的確な判断ができる人に成長していくと思うのです。このようなことを繰り返し経験することで,将来,社会の一員として,自覚をもった人間に成長していけるのだと思います。

 子供たちはこの体育大会で,創り出すことの難しさとリーダーとして全体を動かすことの大変さ,そして,力を合わせて取り組むことの楽しさとやり切ることの充実感を感じてくれたことと思います。この日一日で,「雨の日」と「晴れの日」を経験したのです。この経験が体育大会だけで終わらずに,学習面や生活面においても活かされるよう励ましていきたいと思います。