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福井県おおい町の小学校です。 日々の様子をお伝えします。

2011年2月2日水曜日

あなたの命をいただきます

   今日から2月。旧暦では2月を如月(きさらぎ)といいます。きさらぎの語源は,広辞苑では衣服を更に着るほど寒い…(衣更着)となっていましたが,第2版からは草木が更生することをいうので(生更ぎ)というのが正しい説となりました。旧暦の2月は今の3月です。草木が小さな芽を出し春の息吹を感じる頃ということで(生更ぎ)が正説となったのでしょう。4日は立春ですが春にはまだまだ遠いようです。それにしても今年のこの寒さ,この大雪,間違った(衣更着)説を採りたくなるのは私だけでしょうか。ちなみに,昔の人は「如月」以外に「梅見月」「雪解け月」などと名前をつけて,季節の移り変わりを楽しんでいたようです。

 先週は学校給食週間でした。学校給食は明治22年に山形県の小学校で始まったのが起源とされています。122年前です。本郷小では学校給食週間にちなんで,給食センターの調理員さんに来ていただいて一緒に給食を食べました。その後の給食集会では,福井県産食材のビンゴゲームで食の勉強をしたり,調理員さんや栄養教諭の先生,校務員さんに各クラスから心のこもった手作りの“ありがとうメッセージ”を手渡したりして,感謝の気持ちを表しました。
 感謝といえば給食を作ってくれる人にはもちろん,食べ物を育てたり,届けたりしてくれる人,おいしくいただくことができる自分の体に,そして食べ物そのものに対する感謝が大事です。

 随分前になりますが,一滴文庫で永六輔さんの話を聴く機会がありました。
 ある小学校で母親が,「うちは給食費をちゃんと払っています。もらっている訳ではないので,うちの子には『いただきます』と言わせないでほしい」と申し入れたというのです。永さんはこのことについて,「食べるものにはみんな『命』があります。私たちは,その『命』を食べて,自分の『命』にしています。『いただきます』は『あなたの命をいただいて私が生きることができます』という,食べ物に対する感謝の気持ちなんで,『いただきます』でいいんです」と。
 とても印象深い話で,今でも鮮明に覚えています。

  「いただく」でもう一つのお話です。給食時のご飯茶碗の持ち方がちょっと気になる子供がいます。持ち方と言うよりも持たない,またはテーブル上のご飯茶碗に手を添えるだけ。口を近づけて食べる子供がとても多いです。箸を持たない方の手でご飯茶碗を持つのが和食の作法です。ご飯茶碗をちゃんと持つと手のひらが上を向きます。添えるだけですと甲が上を向いてしまいます。「いただきます」は,いただくのですから手のひらが上をむくようにご飯茶碗を持ちたいものです。

  暦はカレンダー,2月はFebruary,日曜はSunday,こんな表記が多くなっています。ちなみに学校内にあるカレンダーを調べたところ,「如月」が書いてある「暦」はありませんでした。昔の人のように,季節の移り変わりや風情を楽しむどころではなくなってきたのでしょうか。